日本国内物流ビジネスの最新動向および関連テック市場について

国内物流における目下の課題は深刻な人手不足だ。輸配送に関してはドライバーの時間外労働時間の上限規制(いわゆる「2024年問題」)も始まり、目先では輸送能力不足による物流の停滞が懸念されているという。

矢野経済研究所は、国内の貨物輸送にまつわる動向の調査および考察結果の一部を今月20日に公表した。持続可能な物流の構築に向け必要となる取り組みなどについて、次の2つにまとめた。同調査は対象を国内物流に係わる事業者(運送事業者、荷主企業、物流テック事業者等)とし、同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)と文献調査を併用したものだ。

①ドライバーの労働条件・労働環境の改善:中継輸送やモーダルシフト(鉄道・内航海運利用)などによる、長時間労働の改善に向けた動きが進んでいる。納品時や荷役作業開始までの待機時間の削減、手荷役の廃止(パレット化)といった荷主側の取り組みも求められる。物流業界の構造上の課題とされる荷役企業・運送事業者間の契約運賃の見直しや、実運送を担うドライバーの賃金引き上げも重要だ。

②輸配送の効率化やテクノロジーを活用した生産性の向上:輸送能力を最大限に活用し、積載効率や実車率の向上を図るべく、共同物流の取り組みやトラックマッチングサービス(求貨求車)の活用が進む。共同物流では、異業種間での連携も見られるようになり、業界超越型の物流シェアリングが広まることで、さらなる輸配送の効率化が期待される。

テクノロジーの活用において、ハードウェアは自動化(自動運転、ドローン、配送ロボット)の2030年頃の本格導入が見込まれ、現在技術開発と法整備が進行中だ。ソフトウェアは、自動配車システムや動態管理システムなどの導入がデータ化・省人化を進め、全般的に生産性を向上させているという。詳細は同社のマーケットレポートにて、またその概要はショートレポート(税込み1,100円)で確認できる。