官民ITS構想実現に向けETC2.0を活用して物流等の課題解決へ

国民の豊かな暮らしを支える安全で利便性の高いデジタル交通社会を世界に先駆け実現するという。政府は多軸的なデータの利活用による「移動に関わるあらゆる社会課題の解決」も目指している。日本では今、人手不足による物流の停滞が懸念される。

2024年問題の解決で、政府は荷主事業者に、荷待ちや荷役作業等に要する時間(滞留時間)を把握し、それらを2時間以内とすることを求めるなど、物流の効率化に向けた具体的な取組みの方針を示しているという。SOMPOリスクとOKIは、官民ITS構想(デジタル庁PDF)の実現に必要となる交通・物流に関する社会問題の解決を目的として、ETC2.0プローブデータを活用したトラック滞留時間可視化サービスの提供を4月に開始した。

車両運行管理支援クラウドサービス「LocoMobi2.0」を用いて、物流施設事業者に、施設を出入りする車両のETC2.0車載器から取得できるデータ(位置・軌跡など)を基に各車の滞留場所と時間を測定・可視化したレポートを提供。長時間滞留の原因などについて、専門コンサルタントがデータを分析・調査し、解決に向けた対応を支援するという。

両社は損保ジャパンと、自動車事故の事故査定業務におけるETC2.0プローブデータの活用に向けた実証実験も7月まで行う。同データから事故時の車両のハンドリングや速度などの走行データや道路情報を取得・分析し、より正確な過失割合を迅速に算定するためのシステムの検証を実施。来年3月までに、自動車事故の当事者の記憶に頼らない過失割合の算定システムの稼働を目指す。

3社は、ETC2.0プローブ情報(参照:国総研ITSラボ)を活用したモビリティ事業における新サービスの開発を継続検討していく。移動に関する社会インフラ全体の強靭化・高度化のため、各社のデータ共用とAI活用を促進することで、より多くの商品やサービスの開発も行っていく構えだ。