情報通信
電波伝搬シミュレーション×BIMで建物内無線環境を正確・迅速推定
スマホが普及し、IoTが進展している。今日、無線通信網は重要な社会インフラだ。今後さらに需要が高まるだろう一方で、建築デザインの多様化や超高層建築の拡大により、電波遮蔽や干渉などが発生しやすくなっている。
Beyond 5G(総務省)など新たな通信技術も検討されているなか、複合ビルなどの大型建築物における内部の安定した通信環境の確保・整備は必要不可欠になっているという。NTT西日本と竹中工務店は、電波伝搬シミュレーション技術(NTT製Cradio®)と3次元建物モデル(BIM)による建物内無線環境を正確かつ効率的に推定する共同トライアルを実施し、成功した。
Cradioによって無線環境をシミュレーションする場合、これまでは建物完成後に現地で建物の3次元形状を計測するのに膨大な時間がかかり、実際の現場では導入が困難だった。そこで今回BIMデータを利用――コモングラウンド・リビングラボで、事前作成されたBIMデータをShapeファイル(SHP)に変換しCradioに入力することで、無線環境をシミュレーションし、その結果をBSAPに取り込みビューワで可視化した。
現地での計測作業を省略可能とする。①BIMデータを用いて適切に無線電波伝搬シミュレーションが可能であることを確認、②無線基地局設置位置の設計/確認時間の短縮、コスト削減効果を確認、③電波伝搬シミュレーション結果をヒートマップとして可視化、④建物の設計者の声を通して、設計業務におけるCradioの有用性を確認――。創造的な建築設計を支援するようなソリューション展開が期待できる。
建設プロジェクトの設計段階で、建物完成後の無線環境を高精度に検証し、顧客ニーズに合った建物内の通信環境を効率的に構築することが可能となる。2024年度はより大きな建物での活用検証を行い、25年度に実際の建物への導入のためのソリューション確立をめざすという。