世界初!通信を持続したまま光ファイバを分岐・合流させる技術を実証

光通信技術が進展・普及し、市民生活においてもIT(情報技術)端末の活用が拡大している。これからさらに多種多様なモノが通信網へ接続される。その実現のためには、多彩な端末を迅速かつ容易に接続できる光ネットワークが要る――だが現状、ネットワーク構成変更には通信遮断を伴う。

世界的に広く使われている光ファイバは、多様な屈折率分布を有していて、それぞれ伝搬特性(実効屈折率)が異なる。そのため、伝送路を分岐させる際には元の光ファイバの実効屈折率を現地で把握したうえで、同じ特性の分岐用光ファイバを用意する必要があった。サービス停止を伴う当該把握は困難である。ゆえに通信中の光ファイバがどのような実効屈折率を有していても分岐を可能とする、技術の確立が課題になっていたという。

NTTは、用途ごと・設置場所ごとに異なる様々な種類の光ファイバにおいて、通信断を生じさせることなく分岐・合流させる施工技術を世界で初めて実証した。これにより、通信事業者における設備構築コスト削減・工期短縮等が期待できるという。同社はコア直径を変化させた構造を有する分岐用光ファイバの作製方法を開発した。実効屈折率はコア直径により変化するので、同構造の光ファイバは、多様な実効屈折率を有する光ファイバとして使える。

分岐可能な光ファイバの範囲を従来よりも大幅に拡大し、光アクセスネットワークで一般的に使用されている国際標準規格(ITU-T G.652、G.657.A1解説PDF)を満たす全ての光ファイバの分岐・合流を可能とした。IoT機器等の増加にフレキシブル対応できるなど、ユーザーの利便性向上も望める。今後は――

耐環境特性の評価や試作装置を用いたフィールド検証を進めていき、多様化する顧客ニーズに迅速対応可能な、どこからでも接続できる柔軟な光ネットワークの実現をめざすという。同社の今般の成果は「つくばフォーラム2024」で紹介される。