量子インスパイアード技術で倉庫のピッキングルートと棚配置を最適化

工場倉庫管理の最適化は生産性向上とコスト削減に有効だ。十分最適でなければ、作業者の負担増や安全性の問題、生産効率の低下も起こり得る。そこで自社開発したデジタルツールでルート最適化を図っているが、作業経験ベースのそれでは目標達成が難しく、実作業の時間も要していたという。

TOPPANデジタル東芝デジタルソリューションズは、TOPPANグループの工場倉庫管理最適化の取り組みの一環として、後者の量子インスパイアード最適化ソリューションSQBM+を活用したピッキングルートと棚配置の最適化に関する共同研究にて、安定的に高精度な近似解を高速生成できるSQBM+と最短ルート探索が可能な古典ソルバーを組み合わせたハイブリッド解法、および上記管理業務ノウハウに基づいた最適化計算モデルを考案した。

最適なピッキングルートと最適な棚配置を同時に見つけるために同解法を新開発した。この手法では、棚の配置とピッキングルートの最適化が1タスクに統合される。SQBM+で求めた良解を利用して、広範だと計算が遅くなる同ソルバーの探索範囲を絞り込んで探索時間を短縮する仕組みにより、安定して高速に最適な結果が得られる。現場の条件に基づいた最適化計算モデルによって、同解法を実業務に適用できるようにした。

工場の実データからアイテム・人員・エリア・レイアウト要素を考慮してモデリングした約9,000変数の最適化問題を解いた。結果、現行ツールによるシミュレーションよりもピッキング作業時間を平均15%短縮できた。倉庫管理の最適化における量子インスパイアード技術適用の可能性が認められたという。

両社は、現場の声を反映して改善を重ね、同技術を活用した倉庫管理最適化ソリューションをサービスとして提供する。そして前者は最適化の対象を工場倉庫管理の最適化以外にも広げ、量子技術を活用したBPOや製造プロセスの業務改善をめざしていく考えだ。