日本で災害対応が拡大、産業用ドローンの世界市場は1兆4千億円超へ

遠隔操作や自律飛行が可能な無人航空機。ドローンは、海外でUAVまたはそれ足すGCS(地上操縦装置)のUAS(無人航空システム)とも呼ばれている。なかでも小型で2010年頃から娯楽用途で広がった、電動マルチコプター型ドローンはいま、産業界での活用および高性能化が進んでいる。

24年の産業用ドローン世界市場(販売金額ベース)を3,186億9,400万円と予測する。ドローンは農林水産業や点検・測量、警備・監視などで事業が定着し、市場拡大に向けて展開されているという。矢野経済研究所は、マーケット調査レポート『2024年版 ドローン市場の現状と将来展望』において、日本で注目すべきは、災害対応での活用拡大だとした。

消防庁によると22年4月現在、全国の消防本部の約6割でドローンが導入されている。災害対応ドローン整備のための機体等の調達経費を新たに緊急防災・減災事業債の対象とすることが決まった。23年度、地方財政計画に5,000億円が計上され、対象事業に指定避難所の生活環境改善のための取り組み支援とともに、消防本部への水中ドローンの配備が追加された(参考:同庁令和5年1月27日事務連絡PDF)。

本格的な機体導入の動きは24年度以降と想定される。そのためドローンメーカーでは災害対応ドローンとして必須の型式認証取得や、重ねての研究開発、市民への機体認知度アップに向けた取り組みが進められている。ドローンは、既存有人モビリティと同様、世界的に機体を扱う際の法規制や環境づくりなどが整えられつつある。今後、安全性も高く各産業へ活用可能なことが評価され、順調に市場が拡大していくと考えられる。

国内外で実証が産業毎の実装ステップへと進み、機体需要が増加していく見込みだという。産業用ドローン世界市場は30年に1兆4,124億2,100万円に成長すると予測する。同レポートのショート版は1,000円で入手できる。