高血圧発症リスクが6割超低い食事パターンをAI解析で見つけた

疾病リスクを軽減するうえで食事は重要だ。心血管リスクの低下につながる地中海食や血圧をあげないDASH食などが注目されてきた、食事はしかし、様々な因子が関係するため、その評価は容易ではなかった。従来行われてきた解析で、調理方法や食行動などを反映させることは困難だったという。

東北大学大学院医工学研究科健康維持増進医工学分野の研究グループは、協同組合仙台卸商センターの組合員男性447名を対象に2008年より2年間追跡したコホート研究データから、AIによる食事パターンの分類を試み、高血圧発症リスクとの関連を検討した。『仙台卸商研究(PDF)』の簡易自記式食事歴質問票(BDHQ)のデータを、教師なしの機械学習法で解析することにより、特徴的な食事パターンの検出に成功した。

BDHQに含まれる58の食品の一週間の摂取頻度、12の食行動、9つの調理方法のデータを次元削減・可視化法(UMAP)で処理後、教師なし機械学習によるk-means(非階層的クラスタリング)法で分類した。食事パターンは摂取頻度の高さから「海産物とアルコール飲料」「低タンパク・低食物繊維・高炭水化物」「乳製品・野菜」「肉」の4種類に分類された。

2年間の集団追跡期間中の高血圧症の発症は、「海産物とアルコール飲料」に比べて「乳製品・野菜」「肉」パターンは高血圧の発症リスク(オッズ比)が6割以上小さくなることがわかった。食品そのものが高血圧リスクを上下するのではなく、食事の組み合わせが重要である――。食事のような複雑な生活行動もAI解析により健康との関連を明らかにできることを示せた。

今後、多様な手段で集積されているPHR(パーソナル・ヘルス・レコード。全体像:厚労省PDF)等のデータ解析への応用が期待されるという。研究グループの成果は、栄養科学専門誌European Journal of Nutrition電子版に掲載された。