地域通貨を普及、スマホ無しでも顔パス電子決済のしくみに参加可能に

地域振興・地元住民向け通貨事業を検討する団体が増えている。現在、地域通貨事業における決済手段の主流は2次元コード決済であり、非スマホ利用者やアプリ操作に不慣れな人への配慮が求められている。紙券やカードでの決済は紛失・不正使用等のリスクも高く――

より多くの住民にむけた決済手段の拡充や利便性向上が課題になっているという。TOPPANデジタル茅野商工会議所は、キャッシュレス決済プラットフォーム「地域Pay®;」における顔認証決済サービスの実証実験を実施中だ。同社は、自治体などが発行する地域通貨やプレミアム商品券を運用する同プラットフォームに、同会議所が検討する地域通貨事業の一環として、同サービスを試験的に追加した。

残高5,000円のカードIDが同社に発行されたユーザーは、長野県茅野市内の5店舗(アニバーサリーチロルやよい生花店フジモリ薬局ピザ&パスタ SPADAいちきゅう蓼科 モン蓼科店)にて、レジでの顔認証のみで決済ができる。自身のスマホで操作可能な参加者はWebアプリで、非スマホ保持者へは説明会場内のスタッフが、参加者の顔撮影とカードIDの登録をWebアプリで代行する。

「現金やコード決済と比較した際の決済時間の短縮効果」「決済成功率の計測、失敗時の要因の集計(眼鏡・マスク等)」「他決済手段と併用した際の店頭オペレーション」「顔認証システムのユーザビリティ」を今月30日まで検証する。ユーザーの行動変容や加盟店の運用等も検証し、地域通貨事業における顔認証決済の有用性を実証する。

両者は、上記取り組み後、同プラットフォームによる独自地域通貨の提供を目指す。そして、同社は、2025年度より顔認証サービス実装「地域Pay」を全国の企業・自治体に拡販していく。今後もキャッシュレス決済関連サービスの機能拡充や新たなシステムの開発などを行い、社会のキャッシュレス化を推進していくという。