医療ヘルスケアDX、画像診断支援AI技術の開発をサポートする

医用画像系AI開発には3つのハードルがある。高性能な演算・開発環境が必要であること、学習モデルの設計や開発プロセスの実行に高度な工学的知識を要すること、3つ目は学習データ作成時の注釈加工(アノテーション:タグやメタデータの付与)に多大な工数が掛かることだ。

一症例当たり数分~約1時間を要し、数百~数千件のデータにそれを行う必要がある、アノテーション作業は医療・研究機関におけるAI技術開発で大きな負担になっていたという。富士フイルムは、プログラミングなどの知識を不問とする、画像診断支援AI技術開発をサポートするクラウドサービス「SYNAPSE Creative Space」の提供を12日に開始する。

同サービスは、国立がん研究センターと共同開発した基盤システムを用いたもので、プロジェクト管理、アノテーション、学習、試行といった一連の開発プロセスを一括実施できる。クラウドに開発環境があり、手元のPCだけで利用できる。医用画像向けに共同開発した複数の学習モデルを使えるので、医師や研究者は手早くAI技術の開発が可能となる。

アノテーションツールは、臨床現場のAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」と同様の画面デザインであり、画像診断環境に近い操作感で効率的、かつ直感的に画像の参照や注解を行える。新サービスを「ITEM2024」に出展する。同サービスの普及によって、希少疾患を始めさまざまな疾病を対象とした画像診断支援AI技術の開発促進が期待されるという。

同社は、すでに同センター、名古屋市立大学それぞれと上記サービスを用いたAI技術を開発(2月発表3月発表)。AIリテラシー向上用ツールとして6施設へ同サービスを試験導入し、300名超の医療系学生のAI教育をアシストした。今後、医療現場をサポートするAI技術の開発を応援しつつ、社会実装や教育支援にも力を入れていく構えだ。