全光ネットワークを用いて内視鏡の映像処理機能をクラウド化

先端の管を体内に挿入し、検査や組織サンプル採取をするための医療機器。内視鏡は、その低侵襲性と高い安全性から適用領域が年々拡大し、高機能化も進んでいる。ハイビジョンへの対応、NBI(狭帯域光観察)の導入、観察と同時に検体を採取する機能などにより大きな発展を遂げ――

最近では、内視鏡撮影映像から病変の恐れがある部位を術者に提示するといった高度な支援機能を備え、より安全かつ確実な病変部位の早期発見に寄与している。一方で、現在のそれは内視鏡内で全ての機能をこなしていて、性能限界やメンテナンス性が課題となっている。そしてまた、リアルタイムでの遠隔診断や治療の実現など、新たなニーズに基づく柔軟な機能改善/アップデートを要する場面の増えることが予想される。

そこで、処理負荷の高い一部機能をクラウドで分担する「内視鏡のクラウド化」が議論されているという。NTTオリンパスは共同で、映像処理機能に対するクラウド内視鏡システムの実証実験を開始した。今回、内視鏡とGPUサーバをIOWN APNで接続した実験環境を構築し、次のような検証等を双方で実施していく予定だという。

①高速低遅延な光伝送パスで内視鏡・クラウド模擬サーバを接続した際に処理の遅延が発生しないこと、②ネットワーク障害時のフォールバックなど、医療機器に所要の信頼性・可用性をシステム全体で実現できること、③量子計算機でも突破困難なセキュア光トランスポートネットワーク技術を用いての内視鏡・クラウド間暗号化により情報セキュリティが確保できること。

今回の実証を通じ同システムの実現性を確認するとともに高度医療へのアクセス拡大など社会課題解決に貢献していくという。前者は他の医療機器についてもクラウド化を推進するなどユースケースの拡大に努め、後者はIOWNの技術を活用した顧客ニーズとか課題解決に資する先進的な内視鏡システム等の検討を継続していく考えだ。