医療DX、電子カルテシステムに搭載したAIが文書作成・要約を支援

人口及び労働力の減少が進む日本では、医療現場でも人手不足が深刻化している。医療従事者の負担が増大している。今年4月、勤務医の残業時間に上限が設けられる。そのため、業務の効率化が一層重要になる現場では、最新IT(情報技術)を活用したDXの検討などが進んでいるという。

NECは同月、厚労省主導「医師の働き方改革」への貢献に向け、医療文書の作成を支援する、国内初だという生成AIを搭載した電子カルテシステム「MegaOak/iS」の販売を開始する。その大規模言語モデル(LLM)を用いたAIメディカルアシスト(クラウドセキュア接続サービス必要)の第一弾では、診療情報提供書(紹介状)と退院サマリ(仕様書例:日本HL7協会PDF)に活用できる文章案を自動生成する。

当該機能は、電子カルテに記載の診療情報を経過・検査・処方などに分類・時系列に整理し、重要なキーワードをもとに要約文章を生成する一連の処理をクラウドで行う。実証の結果、新規文章の作成時間を平均47%削減でき、表現や正確性についても医師から高い評価を受けたという。

同システムが生成した要約文章は、引用元である電子カルテの記載内容を関連付けて表示しているため、医師がエビデンスを効率的に確認できる。ハルシネーション(幻覚、尤もらしい嘘)などAI特有の問題への対策になる。電子カルテ画面からの連係で文章生成ができる、スムーズな操作を実現。今後、上記接続サービスを介して、他の電子カルテシステムを導入している医療機関でも利用可能とする予定である。

今回の仕組みについて、'28年度までに医療機関100施設への導入を目指す。生成できる文書種を増やし、すべての医療従事者の業務負担軽減に寄与していくという。同社はいずれ適時文書を自動生成しプッシュ型で提案するなど、AIと電子カルテシステムをシームレスに連携し、医療DXによる働き方改革をアシストしていく考えだ。