行政業務DX、広域自治体で2種のAIにて書類検索を効率化

広域自治体である都道府県は業務範囲が広く、それに伴う書類や資料も多岐に渡る。現状、それらの形式も保管場所も不定であるうえ、数年ごとの人事異動で引継ぎや業務知識習得の時間確保が難しく、担当者の日々の業務負担が大であるケースも少なくないという。

インテックは、富山県とともに、生成AIとマルチモーダルAI(言語、画像、音声、動画等)を活用し、自治体職員の書類検索の効率化・働き方改革を推進するための実証実験を昨年9月~今年3月に実施。地域課題を解決する実証実験プロジェクト「Digi-PoC TOYAMA」において設定された同推進テーマについて、創業以来数々の自治体の窓口業務や庁内業務に深く携わっている同社が採択された。

書式や保管方法が多岐にわたる自治体業務の書類をマルチモーダルAI活用でデータ化、生成AIによりスピーディに検索・利活用することで、複雑化・多様化する業務を改善し、人口減少時代における行政経営の効率化や多忙な職員のウェルビーイング向上につなげるものだという。今回の実験では、対象部門職員と、DXによる業務改革を実現するためのユースケースを設定し、業務書類について①書類のデータ化②書類検索③データ活用を検証した。

1月末時点で、「データ検索は約97%の割合で妥当なファイルを検索(広報情報・素材検索)」「データ利用は約86%の割合で利用できるシナリオを作成」といった成果が得られた。その内容について、今月28日に「Digi-PoC TOYAMA」成果報告会で発表予定だ。

生成AIによる業務改革への期待は同県からも高まっている。一方、自治体への事業展開では、公益性を鑑み、より一層データ利用の安全性や正確性が求められるという。同社は今般の実証実験の結果をふまえ、これまで自治体業務で培った知見と最新の技術を組み合わせることで、サービスの価値を高め、他団体へもサービス展開していく予定だ。