橋梁の維持管理を高度化、社会インフラコストの最適化へ

社会資本(インフラ)が老朽化している。それらへの対策を要する。なかでも橋梁は、部材の種類が多く、点検・診断にはスキルや多様な環境条件への対応が必要で、保守品質や安全性の確保が課題となっている。さらに将来を見据えた修繕計画策定や予防保全といった――

全体のメンテナンスサイクル構築による、戦略的な維持管理とライフサイクルコスト(LCC)最適化が求められているという。NTTコムウェアNEC長崎大学は、同サイクル構築による橋梁の維持管理高度化を目標に、昨年10月に共同研究および技術的連携を開始。その第一弾として今年1月、上記高度化を実現するソリューション提供に向け、長崎市内のコンクリート橋梁2基を対象に、同サイクルの点検・診断工程での実証を実施した。

SmartMainTech®で培ってきた画像認識AIによる劣化検出技術と、3Dデータ解析技術を連携し、同大学の橋梁診断の知見を得てこれを実現した。メンテナンスサイクルにおいて、AIによる点検判定をデジタル出力し診断を行うまでの処理フローを確立、デジタルツイン化による点検業務の省力化と品質の均一化の実現性を確認できた。今回の技術群が点検・診断業務に活用されることによる、所要時間約3割の削減を見込んでいる。

さらに、LCCの最適化に繋がる統合的なソリューション提供に向け、措置・計画工程では、修繕計画策定を支援するAIや、劣化予測AIとの組み合わせにより予防保全を可能とするなど、メンテナンスサイクル全体で蓄積したデータを分析・活用することで戦略的な維持管理を実現――そのために今後も連携し取り組む。

長崎県内の各市町村における橋梁点検業務への展開をはじめとし、全国への展開をめざす。3者は、点検・診断・措置・計画のメンテナンスサイクル全体を支援するソリューションを社会実装することにより、橋梁維持管理の社会インフラコストの最適化に貢献するという。