トラクターショベルの一種で車両系建設機械に分類される、四輪駆動のホイールローダーは、整地や掘削等に用いられる。その活躍現場ではショベル/バケットから脱落したツース(爪)によるクラッシャ(破砕機)の故障や、鋭利な岩石への乗り上げによるタイヤカット・損傷が発生しうる。
それらが起きるとクラッシャやタイヤの修理交換によるコストおよび稼働停止による機会損失が生じる。そのうえ、脱落ツースを探し出す作業は大きな危険を伴うという。コマツは、大型ホイールローダー「WA900-8R」向けに、AI画像解析を用いてバケットのツース脱落(掘削性能を向上させる爪が積込み作業時の衝撃で破損脱落)や、車両周辺の転石(採掘現場で発破直後や積込み中に落下した岩石)を自動検知する支援システムを開発した。
顧客の現場の生産性と安全性の向上、2025年度中の一般販売開始を目標とする。ツース脱落の検知支援システムは、車体左右のフロントライト下部に設置したカメラユニットとAI画像解析を用いて、ツースの状況をリアルタイム監視。脱落検知時にはモニタ表示と警告音で、オペレーターにそれを通知する。また、転石検知支援システムは、車体左右のフロントライト上部のカメラユニットと、AI画像解析を用いて――
前輪タイヤの前方と横方向をリアルタイム監視する。システムが所定サイズの転石を検知エリアで見つけた場合、モニタ表示と警告音で、オペレーターに転石の回避を促す。この仕組みの実証実験に協力した顧客から、現場の課題解決につながるとして高く評価された――。両システムについて今後、同年度の量産開始を目処に、作業性能や安全性、利便性の更なる向上につとめるという。
同社は中期経営計画の"ダントツバリュー"(PDF資料)を通じて、未来の現場に向けた次のステージに踏み出し、サステナブルな未来を次の世代へつないでいくため、新たな価値創造を目指していく構えだ。