生成系AIの世界市場ニーズは今後7年で2000億ドル超に

大規模言語モデル(LLM)をベースにした対話型AI、人の指示(プロンプト)によって文章や画像などを生成するAI/生成系AIが産業界や社会を変え始めている。そこでこの度、主要国政府の政策や海外先進企業の動向など公知情報の分析と、国内先進企業へのヒアリングをもとに推計したという。

JEITAは、生成AI市場の世界需要額について、2023年の106億ドルから30年には2,110億ドル、約20倍に急成長するとした。日本市場も現在の15倍、1兆7,774億円になるだろう。アプリケーションの急速な普及や専門分野向けの生成AI活用ニーズの拡大により、適用/応用範囲を広げつつ市場が拡大していく見込みだ。

生成AIの利活用分野で特に伸長著しいと予測されるのが製造分野だ。製造現場における業務支援や製品開発支援など、ユースケースが多岐にわたるため、年平均54.6%で成長し、30年には507億ドルへと拡大――。他にも金融や公共、通信・放送分野等において、作業の効率化や創作活動の拡大などで利活用が広がるだろう。

生成AIの発展や利活用の広がりは、ハードウェア市場にも効果を及ぼす。PCやスマホ、HMD、サーバなど11品目を抽出して需要見通しをまとめた結果、同AIにより世界で7.8%、日本では6.0%程度の押し上げ効果が期待できる見通しとなった。特にインフラは、生成AIの処理・実行において膨大なデータの保管・管理のためのサーバやストレージが必要となることから、大きな押し上げ効果が見込まれている。

同市場は大きな成長が期待される一方、生成AIによる偽情報の拡散や著作権侵害などの課題も顕在化しつつある。調和の取れた社会実装のためには環境整備が不可欠であり、国際的な枠組みやルール形成などが必要だという。詳細は、新春講演会を予定している同協会による『注目分野に関する動向調査2023』(冊子版PDF版)にて確認できる。