人工知能の車載化を加速するクラウド型ワークベンチ登場

ADAS(先進運転支援システム)が益々進化している。レベル4自動運転が公道で実現される日も近い。昨今、真のAI(人工知能)が多様な仕組みに実装されるようになっていて、特に、"現場"で迅速かつ高度な演算処理のできるエッジAIへの期待度が高まっている。自動車もその分野の一つだ。

今月14日、ルネサスは、車載AIソフトウェアをクラウドで迅速に開発、評価できる開発環境「AI Workbench」の限定プレビュー版を来年1月より提供すると発表した。これにより、ユーザは、開発ツールの導入や評価ボードの入手をすることなく、Microsoft Azureの高性能なコンピューティングリソース等の技術を活用して、車載AIソフトウェアの開発をすぐに始められる。クラウドのシミュレーションツールにより性能評価/デバッグや動作検証/テストもできる。

今回、①AIコンパイラツールチェーンのアップグレード、②AIモデルの性能検証環境、③ソフトウェアの開発環境、④ソフトウェアの評価/検証環境といった4つの機能ブロックをリリース。そして、ユーザのさまざまな開発プロセスをサポートするために、一部機能のみの提供やカスタマイズも計画していく。

これは、チップやECUなどハードウェアの無い初期段階からソフトウェアの開発・評価ができる「シフトレフト」を実現するものだ。例えば第5世代R-Car SoC向けのADASや自動運転をサポートするAIアプリ用ソフトウェアの開発も前倒しして行える。開発環境は、同社のスケーラブルなSoCやマイコンを対象に、品種やアプリ種別によらない単一の環境として提供される。

AI Workbenchは24年第2四半期以降、さらに拡大し、いずれ他の大手クラウドでも同様の環境を構築する予定だ。R-Carコンソーシアムのエコシステムパートナが提供するツール類も、クラウドに統合できるよう検討していくという。