ゲームキャラクターが人間ぽく自身の周囲を知覚・記憶・思考して振る舞うための機能を「ゲームAI」と呼ぶ。その企業はこれまで実際の建物内外や広場、駅、展示会場などで人流計測やデータの分析・可視化を行ってきた。そして、「人流計測データ」を蓄積してきたという。
竹中工務店は、ゲームAIと人流計測データを活かした研究成果を用いて、現実に近い形で人の行動を再現し、建物の建築計画や設計プラン、什器等の配置計画に合わせて建物完成後の使われ方を模擬できる「人流シミュレーションシステム」を開発した。同システムでは、模擬結果を建物設計図の3Dモデル中で共有でき、通路幅や展示物の配置変更、混雑緩和などのプランを検討する際、顧客との合意形成がスムーズに行われる。
すでに複数プロジェクトで活用しているという。同システムは①ゲームAIの活用により、模擬人物がまるで個性を持ち周囲の状況に応じて行動を変える、実際的な人流を再現・可視化。②平時、イベント時、曜日や時間ごとなど1つの施設プランでも様々な利用シーンで模擬が可能。③汎用的なゲームエンジンと3Dモデル(BIM)にて構築したので、建物・都市空間内の人流をリアルに可視化でき、現実的な検討が可能といった特長を有する。
面白い展示物の前で立ち止まったり、疲れた時に休憩したりする人々の自然な行動を目的に合わせて各種パターンで再現・可視化できる。「展示施設における計画段階での活用例」「屋外公共空間における計画段階での安全検証の活用例」が挙げられている、同システムの開発により、空間づくりの計画から運用改善まで、人流の側面から支援可能になったという。
同社は今後、AI学習に必要な人流データの計測・収集・分析を通じて最新情報に更新する。進化するAI技術を活用して、商業施設をはじめ様々な建物種別の計画に同システムを役立て、顧客に満足してもらえるプランづくりを進めていく考えだ。