寒冷・豪雪地の"ため池"をITで遠隔監視、市民の安全安心実現へ

気候変動に伴う災害リスクが顕在化している。昨今、安心・安全の確保のために、デジタルトランスフォーメーション(DX)による社会課題の解決が求められている。その県内には690カ所の防災重点農業用ため池があり、149カ所に水位計および監視カメラが設置されているが、豪雪や凍害により――

装置が故障する事例が発生している。水位センサーが動物などの接触により移動または破損して正しく観測されない事例や、ため池が集落から離れた山間部などにあって維持管理が容易にできないといった課題もあるという。コニカミノルタは、防災用途での遠隔監視ソリューションの取り組みを加速していて、今月9日~来年3月31日に長野県と、AIを活用した「ため池監視ソリューション」のPoC(概念実証)を同県中野市の七曲池で行う。

水位測定と遠隔ライブ映像による状況把握を約20km離れた県庁にて実施し、①寒冷及び豪雪環境でも稼働できる装置、②リアルタイムで状況確認について実証する。①では「県特有の気象条件下においても故障なく安定して稼働可能な装置の確立」「物理センサー故障リスクの解消を狙いとしたAI画像解析による水位測定の適正」、②では「荒天時や水位急変時にライブ映像による遠方監視を実現」を検証する。

過酷な環境下でも高耐久かつ昼夜関わらず高い視認性を有する全天候対応型AI搭載カメラ(MOBOTIX社製)の映像データと、水位計/冠水センサーのデータから現状をリアルタイム解析し、氾濫発生前に4G等通信経由のスマホアプリで状況把握ができる。同ソリューションにより、自治体職員や市民への即刻通知、発災時の避難誘導、BCP体制構築を支援する。

日常的に河川やため池の状況を監視することで、付帯設備などの劣化状況の把握、転落事故につながる子供の侵入、ゴミの不法投棄などに対してもAIでの検知とアラート発報を行うなど、安全安心な社会実現を目指すという。