東日本大震災の被災地である福島県双葉町では、昨年8月30日の一部地域での避難指示解除にともない、生活インフラ整備が進められている。今年2月1日には同解除後初の医療施設、双葉町診療所が開所した。けれども同町には調剤薬局がなく、処方薬は同診療所内で調剤されている。
患者の様々な病状に合わせた薬を提供するためには、多くの種類の医薬品を取り扱っている薬局と連携した院外処方を検討していく必要がある。これまでの体制ではまた、処方薬を診療所内で調剤できない場合、患者は後日改めて診療所で処方薬を受け取るか、自身時間をかけて診療所外の薬局を訪問して調剤を受けねばならなかったという。
NTT Comとメドレーは今月21日~来年3月31日、双葉町においてオンラインでの処方依頼・服薬指導、処方薬の患者宅への配送に関する実証実験を行う。同町が進める「令和5年度福島県双葉町オンライン服薬指導実証事業」の一環として、双葉町診療所で受診した患者から診療所外の調剤薬局へのオンライン処方依頼、調剤薬局から双葉町診療所で受診した患者へのオンライン服薬指導、処方薬の配送を実証する。
前者は双葉町診療所への専用端末の配備、通信環境の提供を担当し、後者はかかりつけ薬局支援システム「Pharms」の提供およびオンライン服薬指導に関わる各種コンサルティング支援を担う。同診療所において、医師による診察を受けた患者は、自身が指定する調剤薬局に処方箋を送信し、診療所内に設置された専用モバイル端末にてオンライン服薬指導を薬剤師より受け、配送によって処方薬を自宅で受け取る。
院外処方の実現に向けた有用性評価と課題抽出を行う。今般の実証実験の結果を踏まえ、システムを改善しつつ双葉町民への自治体サービスとしての提供を目指す。両社は、上述のような課題を抱える他の地域でもその解決の糸口をつかむとともに、ITを活用して地域医療に貢献していく構えだ。