生産計画DX、クラウドの数理最適化処理システムにて高速立案

中長期で臨むDX(デジタル転換)戦略の一環として、生産計画業務の一元化・迅速化を推進している。鉄鋼業の生産プロセスの中でも基幹となる製鋼工程は、膨大な選択肢の中から最適な計画を導き出す必要があり、これまで熟練技能者が週次で多大な時間をかけて計画を作成していたという。

日本製鉄NSSOLは、製鋼工程における生産計画を高速立案する出鋼スケジューリングシステムを共同開発し、その本格運用を東日本製鉄所君津地区で開始した。数理最適化技術を応用した同システムは、熟練技能者と同等以上の週次計画案を数秒~数分で導き出せる。これにより、週次計画担当者が後続業務の担当者と連携、計画評価・修正を行うことで、品質・コスト・納期を総合的に満足する計画を作成できる。

①熟練者の暗黙知を形式知化し、膨大な選択肢から最適な計画を選び出すため、数理最適化アルゴリズムを構築し、計画時間を70%削減。②前提条件の異なる複数の計画案を作成し、計画担当者の計画評価・修正・最終計画の確定といった意思決定時間を確保、業務の質を向上。③短時間で計画策定可能な特性を活かし、下流工程への影響評価、業務前提変化時の迅速な再スケジューリング対応など業務の高度化――

といった業務改革を実現する。数理最適化処理システム基盤としてパブリッククラウドを採用、高速CPUでの並列計算(複数計画策定)などを適時行える仕組みを構築している。同システムは各製鉄所へ順次展開し、全社での生産計画の一元化を進めていく予定。その活用を通じて、従来の生産計画業務を大きく変革し、日本製鉄における生産計画DXを具現化していく。

各種業務への高度IT活用、AI技術応用における開発を継続していて、今回上記アルゴリズムをシステム化した、日本製鉄インテリジェントアルゴリズム研究センターとNSSOLシステム研究開発センターは引き続き協働し、研究成果の具現化に努めていく考えだ。