ロボットの掌中でつかんだモノを回し続ける制御技術を発表

ロボットの活用が進む。昨今、ロボットハンドで把持した対象物の位置や姿勢をハンド内で変更する高度な動作"インハンドマニュピュレーション"が注目されている。それをスムーズに行うために、コンベアベルトを巻いた複数のフィンガで構成されるハンドが多く研究されている――

フィンガ同士で対象物を把持して同ベルトを動かすことで、対象物の並進と回転が可能となる――機構を用いて、対象物の位置姿勢変更が可能な範囲の拡大は図れるが、対象物をハンド内で回転させる際、その形状や姿勢によっては掴み続けられずに落下させてしまう。従来の仕掛けには課題があったという。

パナソニックコネクト中央大学理工学部の研究チームは、IEEE「IROS 2023」にて、ロボットハンド制御技術に関する共同研究の成果を発表した。両者は先月、「第41回ロボット学会学術講演会」でも、"接触点の予測に基づく画像を用いたIn-Hand Manipulation"を発表した。これらの成果NEDOの助成事業によって得られたものだ。

新技術は、サプライチェーンの現場への貢献が見込まれる。中でも、モノのピックアンドプレース作業への活用が想定される。置かれたモノをロボットハンドでピックし、インハンドマニピュレーションを行うことで、姿勢を変えた状態でプレースできる。たとえば部品組立作業の現場では、部品をピックし、組立可能な姿勢に変更した後に、相手側の部品にプレースする作業を実現できる。

物流現場では、箱詰めやパック詰めに応用可能。様々な形状のモノを整列させて箱内に配置し高密度な箱詰めができる。形状に個体差がある青果等も、カメラ画像から個体毎の形状をリアルタイム検出して適切な制御を行える。パック詰め対象物もロボットにより整列配置でき、集荷場等での自動化に貢献する。小売店舗等でも、商品陳列等のモノを決まった姿勢で並べる作業への応用が見込まれるという。