保守業務DX、光学・画像処理技術×AIでトンネル点検を効率化

社会インフラの老朽化が問題となっている。日本国内では現在その一つ、鉄道・道路・水力発電所などに総計1万5千本超のトンネルがあり、それらはほとんど人手による点検業務と修繕計画作成が行われている。なかでも水力発電所の重要施設、水路トンネルは――

内部に照明設備が無い、長さ数百m~数kmのトンネルを5、6名の熟練者が主に目視で点検しているので、大きな負担となっている。人力点検ではまた、ひび割れの進行などの確認が困難なため、「事後保全」を招き補修コストが増大するという。富士フイルムは17日、「ひびみっけ」で培った最先端の画像処理技術・AIと高度な光学技術を組み合わせた、点検業務の効率化を実現する「トンネル点検 DXソリューション」の提供を開始した。

同ソリューションは、トンネル撮像システムの貸与から画像データの保管・活用まで一括提供し、トンネル点検業務を刷新する。画像データを基に高精細なトンネルの画像展開図を生成し、従来トンネル内で行っていたひび割れの進行度合いなどの点検作業をオフィスにいながら実施可能とする。これを活用することで、現地での作業を3名(熟練技能者1名・撮影作業員2名)程度で実施できる。

3kmのトンネルの画像展開図を作成する際(手作業では数か月必要)、自動合成により約1週間で完了。それを基にオフィスでひび割れの確認等ができ、負荷が大幅に減る。点検業務を、トンネルの健全度を正確に把握して適切な修繕計画立案する「予防保全」へ転換し、設備の延命やライフサイクルコストの削減が実現できるという。

同社は、まず水路トンネルを対象に同ソリューションを展開――北陸電力が今年度のトンネル点検業務に使用するという――その機能強化を進め、適用範囲を鉄道や道路のトンネルまで広げていく。先進・独自技術を用いた製品・サービスの提供を通じてインフラ分野のDXを推進し、社会課題の解決に貢献していく構えだ。