光波長パス設計等を自動化、分散DC間で大容量低遅延通信を実現する

生成AIの活用が大いに期待されている。産業・社会基盤分野にて、これまでのAIやIoT系サービス利用に伴ってだけでもデータセンタ(DC)需要が急増している。それを支える光伝送分野では、DWDM(高密度波長分割多重)トランシーバの大容量化・小型化・省電力化が急進展している。

その潮流は、コヒーレントDSP・シリコンフォトニクス同梱デバイスなど光電融合技術によって一層加速する、DWDMトランシーバを用いた莫大な数の光波長パス(特定波長コネクション)を自動設計・設定する技術が求められている。一方、各種計算資源を収容するDCの郊外移転が進んでいて、電力や立地スペースが豊富で災害リスクを分散できる遠隔地のDCと都市部のそれを高速・低遅延接続する光波長パスの必要性も高まっている。

従来のデータセンタ間通信(DCI)はしかし、一対一の単純トポロジーでかつ単一ベンダ・単一伝送モードで装置を構成するのが一般的であるため、規模拡張性に乏しく、DC分散を大規模に進めることが困難だったという。NTTNECは、通信需要に応じたDC間の大容量低遅延接続の実現に向け、IOWN Global Forumにてアーキテクチャの制定が進んでいるAPNを活用した光波長パス設計技術を確立し――

海外4大学と共同で、米国立科学財団(NSFCOSMOSテストベッドを用いてフィールド実証。熟練作業者が2、3時間超かけて行っていた光波長パスの設計・設定を自動化により数分で実施することが可能となった。所要地間をオンデマンドに光波長パスで接続し、分散DC間で大容量低遅延通信を行うデータセンタエクスチェンジ(DCX)サービスの実現に大きく貢献するという。

開発実証結果は、光通信技術に関するヨーロッパ最大の国際会議(ECOC)でBest Paperに選出されたうえ、テレコムインフラプロジェクト(TIP)のFyuzイベントで紹介された。