医療分野DX、うつ病診断をAIプログラムでサポートする

近年、メンタルヘルスケアは重要な課題となっている。厚生労働省「患者調査」によると、気分障害の患者数は1996年から2017年で約3倍に増加している――

患者数とは、調査日現在において継続的に医療を受けている人(当日医療施設で受療していない人を含む)であり、入院患者数+初診外来患者数+{再来外来患者数×平均診療間隔×調整係数(6/7)}の算式で推計したものだという同省Webの「こころの病気の患者数の状況」に上記データが示されている。

9月28日、FRONTEOは、うつ病の診断支援を行うAIプログラム独占的開発・販売について、慶應義塾大学医学部と合意した。両者は2015年より医療者・患者間の会話を用いたうつ病、躁うつ病、認知症の診断支援AIプログラムについて共同研究を行っている。2020年には認知症診断支援AIプログラムの独占的開発・販売権に関するライセンス契約を締結(同年発表記事)、以来、その実用化に向けた開発を進めている。

暗黙知を再現する自社開発AIエンジン「KIBIT」を用いた多様なAIソリューションとサービスを提供する、同社は「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」ことを理念とし、膨大なテキストデータや複雑なネットワークの中から意味のある重要情報を抽出してエキスパートの高度な判断を支援する、自然言語処理ならびにネットワーク解析技術を強みとしている。

今度の合意により、うつ病診断支援AIプログラムについても実用化・事業化の取り組みを進めていく。本研究開発は、AMEDの未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業「表情・音声・日常生活活動の定量化から精神症状の客観的評価をリアルタイムで届けるデバイスの開発」の支援により行われたという。同社は、AI技術の開発と社会実装を上記課題の解決の一助とするべく努めていく考えだ。