安全保障の裾野が経済分野に急拡大するなか、国家・国民の安全を経済面から確保するための取組を強化・推進することが重要だとして、いわゆる経済安全保障推進法が今年4月1日に施行された。
同法律における特定重要物資の安定的な供給とは、強靱なグローバルサプライチェーンとも解釈でき、情報の流通ひいては企業間取引・契約にまで影響が及ぶ――。今日、国際訴訟におけるeディスカバリ(電子証拠開示)やデジタルフォレンジック調査では、外部組織などでの解析が必要な場合、企業の機密情報を含む膨大なデータを読み取り可能な状態で持ち出すことがあり、その際の機密情報流出リスクが課題になっていたという。
FRONTEOは20日、ハッシュ化した復号不可能な機密情報を自社開発AIエンジン「KIBIT」で解析する新たな技術について、特許査定通知を受領したことを発表した。同技術は、国際訴訟における証拠開示への応用により、機密情報が国外に流出するリスクの低減に効果が期待されるとして以前メディアに取り上げられ話題となった。
ハッシュ化(ある特定の文字列や数字の羅列を、ハッシュ関数を用いた計算で別の"不可逆な"値に変換)されたデータをKIBITが解析することによって、調査目的に必要な解析結果(ドキュメントの証拠との関連度合い・注目箇所、AI解析モデルなど)を獲得し、その情報を元データと照合し特定して、必要な情報のみを証拠として提出することを可能とする。
経済安全保障上の観点からも、これまで技術流出のリスクやそれによる日本の国際競争力の低下などにつながる可能性があったところで、データの機密性と安全性を高める。上記新技術は、同社のリーガルテックAI事業にて年内のサービス提供開始が見込まれている。その活用により、医療・金融系など、外部や国外への持ち出しが制限されている機密情報についても、管理区域外への安全な送信・解析が可能になるという。