ケミカルリサイクル技術の社会実装、まずは自動車用ナイロン6から

低炭素社会および循環型社会構築に資する。プラスチック資源循環システム構築の加速化を図るため、従来型の化石由来資源利用を段階的に改めていくのだという。環境省は、代替素材開発や、使用済み化石由来資源のリサイクル技術・システム高度化などに必要な実証事業を推進している。

今月19日、東レは、Honda R&Dと――廃車から回収するガラス繊維配合ナイロン6(ポリアミド:PA6)部品を亜臨界水(高温・高圧の水)で解重合し、原料モノマー即ちカプロラクタムに再生する――ケミカルリサイクル技術に関する共同開発契約を締結し、技術実証を開始したことを発表した。すでに共同で技術開発を行い、亜臨界水でPA6樹脂を解重合することに成功している。

樹脂への浸透性、溶解力、加水分解力が高い、亜臨界水は、触媒不使用で添加剤の影響を受けることがなく、数十分でPA6を解重合し、かつ高収率でカプロラクタムを生成できる。それを分離・精製し、再重合して、バージン材と同等の物性のPA6に再生可能だという。リサイクル技術は、「環境省令和5年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)(補助)」に採択されている。

同事業を活用し、原料となる樹脂処理量500トン/年規模のパイロット設備の導入および実証実験を進める計画である。まずは使用済み自動車用樹脂部品を、同じ自動車用材料に再生することを目標とし、エンジン吸気系部品のインテークマニホールドを原料とした解重合やモノマー分離・精製技術の開発を進め、自動車用樹脂部品のケミカルリサイクル技術として、2027年近傍の実用化を目指すという。

両社はいずれ衣料やフィルムなどにも同技術の適用範囲を拡大していく。参画企業を募り、日本国内でナイロン6のケミカルリサイクルスキームを構築することで、資源循環社会の実現、温室効果ガスの削減に貢献していく構えだ。