建設業界では、より高い生産技術の追求が進められている。ロボティクス活用による作業効率化ニーズが高まっていて、地面状況等の影響を受けないドローンは特に注目されている。その自律飛行のためには、機体の位置把握が重要であり、同業界では様々な取り組みが行われてきた。
GNSS/RTKなどの衛星測位技術は、屋外飛行位置の把握で既に数多く利用されている。そして屋内では、環境地図の作成と自己位置の推定を同時に行うSLAM/VSLAM(参考:国交省PDF)などを利用することが一般的だが、それらは特徴点の少ない壁面で測位に失敗したり、類似構造フロアの区別ができなかったりといった弱点があるという。
NEC通信システムは先月、竹中工務店、センシンロボティクスと共に、3次元屋内外測位(MBS:MetCom社)を活用したリアルタイム測位の技術実証を実施。屋内外でシームレスな自律飛行ドローン制御に向けた測位が実現できることを確認したという。実証では、MBSサービスをもとに数十ミリ秒ごとの測位を行う独自方式の位置トラッカー(MBSトラッカー)を試作してドローンに搭載した。
同サービスの機能性は実証済み(22年11月発表記事)であり、今回、屋外でドローンを係留・手動飛行させ、RTK測位をしつつ真下の地面へレーザー測距を行い、各測定データを取得して比較分析を行った。現場とクラウドとの通信、MBSトラッカーと地上の間はプライベートLTE「sXGP」にて高信頼なデータ回線を構築。同通信方式により高品質なデータ回線が確保できることが確認できた。
高さ測位に気圧を利用するMBSへの、プロペラによる気圧変動の影響についても確認ができ、測位誤差の修正に向けた知見も得られた。当該測位技術をドローンの自律制御と連携させ、屋内外シームレス飛行技術を開発することで、建築現場での労働生産性の向上や、物流運搬における改革が期待できるという。