西表島で生物多様性保全をデジタルトランスフォーメーション

国連生物多様性条約COP15で、2030年までのバイオダイバーシティ保全に関する目標が採択された。今日、自然資本の重要性が高まっている。世界自然遺産である「奄美大島、徳之島、沖縄島北部(やんばる地域)及び西表島」は、絶滅危惧種の生息地で固有性の高い生態系を有する。

上記UN合意における重要地域でもある奄美・沖縄固有の生態系に、近ごろ外来種の侵入が影響を及ぼしていて、その対策は喫緊の課題となっている。イリオモテヤマネコなどの固有種が多く生息している西表島では、侵略的外来種の調査が肝心である。同島ではこれまで行政機関や専門家による現地調査や、IoT系定点カメラを活用した調査が行われてきた。

「おきなわ自然保護プロジェクト」ではやんばる地域の森に設置した同カメラの画像をクラウドAI解析して、動物の分布データを収集しているが、データ量および通信安定性の面から上記保全に必要な生物データの把握が十分に進まない課題があったという。沖縄セルラーKDDIバイオームは9月7・8日、西表島の生物多様性保全を目的に、いきものコレクションアプリ「Biome」と衛星通信サービス「Starlink Business」を活用した外来種調査を実施。

これを活用した外来種調査は国内初だという同サービスによるインターネット回線を構築し、3社の社員が同アプリで外来種の分布データを収集する。Biomeの名前判定AIが動植物の種類を見分けるため、専門家でなくても写真を撮るだけで精度の高い調査ができる。上記プロジェクトの一環として、環境省沖縄奄美自然環境事務所沖縄県環境部自然保護課竹富町の協力を得て行う。

今回収集したデータを各公共団体と共有し、西表島の環境保護や外来種対策に活用することで、生物多様性保全の取り組みを支援する。3社は、同調査を通じて沖縄県の外来種分布状況把握と、バイオダイバーシティに貢献していく構えだ。