建設DX、スマホカメラ撮像により外壁タイルの接着率を判定

有機系接着剤による外壁タイル後張り工法。建築工事標準仕様書・同解説JASS19セラミックタイル張り工事のプロセス検査では、品質管理のため、接着剤のタイル裏面への適正な接着率を確保し、均等に接着していることが重要だ。2018年5月に国土交通省より通知された――

「建築物の定期調査報告における外壁の外装仕上げ材等の調査方法について(技術的助言)」を適用する場合、検査記録として"有機系接着剤の充填状況を検査した結果"を残す必要がある(参考資料等:全国タイル工業組合)。これまで、当該検査における接着状況の確認および合否判定は目視で行っていたため、人による検査精度のばらつきが生じる可能性があるうえ、検査記録作成に多くの時間を要していたという。

建設DXサービス/国交省電子納品対応建設図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS」を開発提供するスパイダープラスは、「住まいと暮らしの創造企業グループ」への飛躍をめざす長谷工と、外壁タイル裏面の接着率判定システムを共同開発した。同システムは、Apple iPhoneのカメラでタイル裏面を撮影し測定範囲を指定することで、画像解析により接着率の算出および均等に接着しているかどうかを判別。合否判定を行うことができる。

建設現場での利用を想定して設計された画像解析にて、現地で即時システムによる正確かつ客観的な検査および記録が行え、事務所では検査記録が自動作成できる(特許出願中)。

検査記録作成においては、従来手法で約17.5時間を要していたところ、同システムを使用することで、5.5時間ほどで完了することができた(1棟14階建て66戸の共同住宅物件にて試算)。当該検査業務全体の65%以上、約12時間の削減を実現したという。同社は今後も検査精度の向上、業務効率化に貢献する開発を通じて、建設現場の品質向上と働き方改革をパートナー企業等と共に進めていく構えだ。