製造
画像解析技術でミクロ・マクロ組織評価、物性値と紐付け新材料設計に
ある物質の二次元断面組織画像の特徴を捉えて、三次元の組織特徴値を求める。軽量形態学では、対象物体の形状が繰り返された構造で広がり生成された系であることが前提だ。その際、ミクロスケール組織で非等方性や不均質性があったとしても、マクロスケール組織で規則性を持つとき――
ミクロスケール組織の配置パターンを抽出することで、規則性・反復構造を持つ系であると言える。当該繰り返しパターンをモデル化し、統計的解析を行うことで、断面図から体積中の組織構造の分析を行っている。従来の計量形態学では、二次元断面画像から得られる情報は材料組織の体積中の極僅かであり、材料組織の不均質な情報をすべて把握することはできない。単純なパターンとしての取り扱いでは、正確な組織評価は不可能だという。
東京都市大学において、応用化学科の宗像文男教授とデザイン・データ科学科の佐藤圭浩講師は共同で、画像解析技術による材料組織画像のマクロ及びミクロ組織の定量評価法を開発し、機能性複合材料の組織と誘電特性の関係性を実証した。同技術は、創出した材料組織の二次元断面画像を、マルチフラクタル解析法を用いてミクロ及びマクロスケールでシミュレーションすることにより、詳細な組織の構造・状態を解析・定量評価するものだ。
誘電特性に限らず、熱伝導性、強靭性など様々な物性値と画像解析結果を紐づけ、組織形態の変化を捉えることで同様に高度な新材料の設計・開発に貢献できる。これを他分野へ応用し、建造物の劣化度進行調査や、細胞、菌糸等の増殖・成長に関する評価を行う。
ひび割れ画像や細胞組織画像、菌糸の成長動画などのデータに同技術を適用して形態を定量評価し、その変化を捉えることで新たな評価基準として活用できるとも期待されるという。上記研究の成果/画像解析技術は、米国物理学協会の『Journal of Applied Physics』に掲載された。