第6世代移動通信などで生かされる技術、テラヘルツ波を広角伝播制御

先進各国で次世代移動通信システム「6G」を見据えた研究開発が始まっている。そこでは、5G用の電波(ミリ波)よりさらに波長が短く光波(赤外線)のように用いられるテラヘルツ波――波長約10μm(周波数30THz)から同約1mm(同300GHz)の電磁波の使用が明示されているが――

テラヘルツ波は障害物に遮蔽されやすく、今日、その進行方向を制御して遮蔽エリアに信号を届ける技術が求められているという。東北大学大学院工学研究科金森義明教授)の研究グループは、シリコン製のサブ波長構造で構成される透過型メタマテリアルを新たに開発し、屈折率を人工的に精密制御して空間配置する実効屈折率分布制御に基づき、テラヘルツ波の進行方向を所望の向きに変えられるテラヘルツ波偏向器を開発した。

同メタマテリアルは、半導体微細加工技術を用いて作られるため小型・量産性に優れる。その母材となるシリコンは、半導体微細加工技術との相性が良く、高精度に透過型メタマテリアルを作ることができる。今回開発した透過型偏向器と、これまで開発されてきた反射型偏向器とをうまく空間配置することで、6G通信において電波障害エリアがより少なくなることが期待される。

0.3~0.5THzの周波数帯において、世界で初めて74°の広角な偏向走査を実現した。上記新開発技術は、テラヘルツ波スキャナやイメージングへの応用展開が望め、6G通信技術に留まらず、医療・バイオ・農業・食品・環境・セキュリティなど幅広い分野での応用も見込める。昨年設置した国内初のメタマテリアルを専門とする研究センター「メタマテリアル研究革新拠点」を基盤に、その実装化に向け、研究をさらに加速させていく。

一部JST CREST(JPMJCR2102)の支援を受けてこれを成し遂げたという。研究グループの成果は先月31日、アメリカ光学会誌Optics Expressに掲載された。