空港業務DX、保安検査のAI化にプロ目線をプラスし集中監視機能も

ITを活用して物事をより良い方向に転換していく「DX」が様々な分野で求められている。昨今、これにより、お客や乗務員のさらなる安全を確保すると同時に、「目視」で危険物を検知する検査方法の効率化を図り、保安検査に関わるストレスを軽減しながら保安検査の品質向上を推進していくとした――

JAL南紀白浜エアポート日立が2022年3月から実施している「保安検査を支援する人工知能(AI)技術の実用化に向けた実証実験」に、全国で多くの空港の保安検査業務を手掛けるセノンが8月2日より参画する。同日から来年3月末日までの実証実験で、セノンは、AI正解付け作業の支援、検査員目線でのX線検査AI支援システムの評価、集中監視機能を活用した保安検査業務の運用性評価を担当する。

同実証実験は、主に手荷物検査のX線検査装置を活用した空港保安業務を対象としている。これまでの技術検証や制限品に関する最新情報や他空港での知見をAIに学習させることに加え、検査員視点での一層使いやすくストレスのない検査を支援するアプリケーションの実現が期待される。

AIと検査員が協働する仕組みの構築によって、保安検査業務の高度化および航空需要増に対する検査待ち時間の短縮、検査員の業務量の約20%削減をめざす。そして、安全・安心の継続確保と利便性の向上を両立させ、シームレスかつストレスフリーな空の旅を実現していく。既存のX線検査装置の操作はそのままに、AIがX線画像における制限品の判定について視覚的なサポートを行い、検査員の負荷を軽減する。

今年10月には複数のX線検査装置の画像を一つの画面で検査できる「X線検査判定支援ソフトウェア」(日立ソリューションズ提供)の新機能である集中監視機能の導入を予定していて、一人の検査員が検査可能なレーン数が1レーンから複数レーンに増加可能となることを検証し、将来の保安検査業務の効率化をめざすという。