東南アジア起源のサチバ種と、アフリカ起源のグラベリマ種がある。栽培方法によって水稲と陸稲とに分けられる。イネは、世界人口の約半数が主食としている非常に重要な作物だ。食料需要の増大や気候変動を踏まえると、その安定的な増産はますます大事になってくる――
増産に向けた基本データとして、土地面積あたりのイネの収穫量(収 量)を正確に把握することが求められる。そのために、一部のイネ を刈取り、乾燥させたのち可食部(籾や玄米)の重量を実測する方法は主流だが、多大な時間と労力が求められる。様々な理由により刈取り調査自体が不可能な場合もある。イネの生産現場ではこれまで、収穫前の収量把握は容易ではなかったという。
岡山大学/京都大学、国際イネ研究所/アフリカライスセンター、東京農工大学、国際農研、岐阜大学、東北大学の教授らからなる研究グループは、AI画像解析によって、多様な環境で栽培されたイネの収量を高い精度で推定する"汎用的な"技術を開発した。同技術を用いれば、専門知識がなくても、市販デジカメやスマホで撮影する「写 真」のみから収量が推定できるという。
同グループはイネ研究者の国際的なコンソーシアムを築き、様々な品種、地域、栽培環境でのイ ネの画像と、その画像に写った範囲のイネ収量データを世界各地で収集し、400以上の品種、日本やアフリカなど7カ国・20地域、20,000点以上のイネ画像からなる膨大なイネ 収量-画像データベースを構築した。当該データベースをAIに学習させ ることで、イネの画像のみから収量を推定するモデル開発に成功した。
完成したモ デルにて高い精度(R²=0.69)を達成した。同技術を基盤としたイネ生育収量推定用スマホアプリ「HOJO」(iOS版、Android版)にて、利用拡大が期待される。研究成果は『Plant Phenomics』で公開――7月28日付けで出版予定だという。