金融機関業務DX、融資取引に関わるあれやこれやをデジタル化する

デジタルシフトが加速している。金融機関は昨今、融資業務でも電子契約サービスの活用を進めているが、申込受付以降たくさんのプロセスがあるうえ、犯罪収益移転防止法に基づく厳格な本人確認(法的正当性)や、サイバー空間での取引データの真正性の確保・長期保管などが求められる。

そうしたことから多くは融資業務の一部である契約プロセスの電子化に留まっているという。日立は21日、金融機関の一連の融資業務をデジタルで完結する「金融機関向け融資DX推進サービス」 の提供を開始した。クラウド型の同サービスは、法人向け融資、個人ローン、住宅ローンなど各種融資業務において、申込から審査連携、契約、融資実行後の管理まで、一続きの業務をすべて電子形式にて完結可能とする国内初の仕組みだ。

各業務間の個人認証管理・API連携といった基本メニューのほか、電子契約、当座貸越、文書連携、融資申込など7つのメニューが用意されていて、融資審査システムなどの既存システムを生かしつつ、必要なものを選択導入してスモールスタートできる。融資の際に要る保証会社との連携もサポートし、金融機関やエンドユーザーだけでなく、融資取引に関わるあらゆるステークホルダーの業務をデジタル化する。

新サービスは、地域金融機関など7行での事前検証にて、当座貸越メニューを使った場合、1万時間超の事務コストを削減――業務効率化に高い有効性が確認された。

今後、対応可能な融資業務をさらに拡大し、法人向けの保証協会付き融資について23年度中に信用保証協会電子受付システムと連携するなど、順次メニューを拡充し、融資業務全体のデジタル完結をより推進していく。JPKIを活用した日立公的個人認証利用サービスや、法人向けデジタルチャネル統合プラットフォームといった各種Lumadaソリューションとも連携を行うという。同社は、顧客のさらなるデジタルシフトに貢献していく構えだ。