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歩行者の動きを8割超把握、都市空間にて混み具合の新たな指標提供へ
人流の把握と解析は、交通・生活・観光分野などでのインフラ整備要素として注目されている。近年、それに用いるカメラ動画像や三次元レーザ計測機器等の精度向上への期待が高まっている。安全かつ快適で質の高い都市空間を整備するためにも、事前の人流把握・解析およびシミュレーションと――
その評価に用いる混雑状況を示す指標が求められているという。TCU都市生活学部都市生活学科(高柳英明教授)は、日本工営、日本工営都市空間と共同で、人流における歩行者の挙動把握が80%以上となる技術を開発した。同大学世田谷キャンパス内「nana café」周辺を対象空間とし、動画像と3D-LiDARを併用した行動把握を実施。群集密度のサービス水準[㎡/人]を適用した人流量の同定率を明示すべくその精度を検証した。
カメラ動画像か3D-LiDARのみの把握では約65%程度であったところで、サービス水準A(0.81㎡/人、閑散駅コンコース)にて81.3%、サービス水準B(1.21㎡/人、円滑な通勤人流)にて85.7%、サービス水準C(1.62㎡/人、歩き難い通勤人流)にて84.0%の同定率を得た。低混雑度合いでは立ち止まり・滞留による長時間オクルージョンの発生が示唆された。単純に混雑度合いが高くなるにつれ同定率が下がるものではない。
新開発技術は、どのような混雑度合であっても常に80%以上の精度で混雑状況を把握できる。混雑状況を示す新たな指標としての活用が望める。
今回の研究成果は、スマートシティ構想において、「都市DXに連関する5Gスマートボールへの人流把握技術への展開」「インバウンド増による観光地の回遊性分析と集客資源価値創造への寄与」「歩行者ITS時代の歩車融合モビリティの自動運転への展開」「スタジアム・コンサートホールなどの大規模集客イベントの警備運営のデジタル化」といった社会インパクトと展開余地があるという。