汗のイオン濃度を即測定、運動場や働く現場で体の異常を早期発見する

あらゆるモノがネットにつながるIoT時代となった。昨今、健康状態や運動量をモニタリングする各種ウェアラブルデバイスの開発が進む。とりわけ、色々な成分が含まれている人の汗からは生体情報をある程度把握できるため、軽量かつ快適で体への負担の少ない"汗観察"デバイスが模索されてきた――

そこで、非侵襲的で安定・継続して汗中成分をモニタリングできるデバイスの実現を目指して、研究を進めてきたという。東京理科大学の研究グループは、汗中のイオン濃度をリアルタイム測定できる小型イオンセンサの開発に成功した。同センサを熱転写印刷にて衣類に取り付け、非侵襲的なウェアラブルデバイスとして使用可能であることも実証した。

今回、同研究グループは、人の汗に含まれるCl-、Na+、K+、NH4+などの各イオンをリアルタイムで定量化できるイオンセンサをものにした。これらのセンサは他の成分の影響を受けることなく、精度よく各イオン濃度を測定できる。そのうえ小型で、衣類に熱で圧着プリント可能であるため、使用時に直接肌に触れることはない。装着時の圧迫感や皮膚のかぶれがなく、長時間快適に使用できる。

「人の汗に含まれる各イオン濃度をモニタリングすることで、運動管理や記録に応用できるとともに脱水症状の早期検知につながると考えられます。また、労働環境下での熱中症の早期発見などに役立つことが期待されます」と、研究を主導した四反田准教授がいう。今般の成果をさらに発展させることにより、Tシャツやリストバンド、インソールなどに組み込めるようになれば、健康状態を常時モニタリングできる多様な製品が具現化されていくだろう。

JST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)JSPS科研費、文科省私立大学研究ブランディング事業、東京理科大学優秀研究者奨励費による助成を受けて実施された。研究の成果は、「ACS Sensors」に掲載された。