ドローンを用いたインフラ点検を容易にする、自動飛行用アプリを開発

港湾クレーンなど構造物の点検は作業員が目視で行う。従来手法では、クレーン停止期間の長期化やコスト、安全面、検査結果のばらつきなどの課題があった。そこでドローンの眼を用いて点検や巡視のDXを進めようとしても、その多くが手動操縦によるものだったため――

撮影画像の品質が操縦者の技量に依存する、点検時間の短縮が見込めないといった問題点があった。2020年度から、港湾クレーン点検の課題解決に向けた技術を構築してきたという。ゼンリンデータコム三井E&Sは今月20日、インフラなどの設備における点検・巡視に対して、ドローンが飛行から撮影まで一貫して自動で行えるファイルを生成する、ドローン自動飛行点検ルート生成アプリ「ドローンスナップ」の開発開始を発表した。

これまで構築した技術を集約し、汎用的なPCアプリケーションの開発に着手。これにより「誰でも、手軽に、高品質で」ドローンを用いたインフラ等の設備点検や巡視が可能になるという。同アプリは、対象物の3Dモデルを読み込み、CG上で点検・巡視の際に確認すべき箇所に対して、事前に撮影したい画像の画角やズーム倍率を設定できる。事前設定情報は、ドローンの自動飛行ファイルとしてアプリから出力できる。

当該ファイルに対応しているドローンにそれを読み込ませることで、CG上で設定した通りの自動飛行および自動撮影が可能となる。飛行と撮影は全て自動実行されるので、操縦者の能力に依存することなく常に同画角で安定した品質の画像を取得でき、点検対象物を定点観測する用途でも活用できる。港湾クレーン点検で構築した技術を集約した同アプリは、同様の課題を持つ様々なインフラ設備などの目視点検や巡視に広く応用可能だという。

「ドローンスナップ」のデモ版を28~30日にインフラメンテナンス展ゼンリンデータコムブースで披露する。両社はインフラ点検分野へのドローン実装に寄与していく構えだ。