ペロブスカイト太陽電池でIoT、都庁内の空気質モニタリングから

軽い、薄い、曲がるといった特長を備え、材料次第で半透明にもできる。ペロブスカイト(灰チタン石)結晶を用いた太陽電池は、シリコン系や化合物系の太陽電池に匹敵する高効率の光電変換が可能で、次世代ソーラーバッテリーの大本命と目されている技術だ。

それは少ない光量でも発電でき、身の回りの小型電子機器や、従来太陽光パネルの設置が不向きだったところ、ビルの壁面、宇宙空間など多様な場所で独立電源を得られるようにする。そのうえ、大面積塗布技術による大幅なコスト削減が期待されている。「ペロブスカイト太陽電池」について、当該技術を採用した空気質センサーの開発・実証実験を、昨年来、京都大学発スタートアップと続けてきたという。

マクニカは今月20日、エネコートとともに、東京都と連携して自治体初かつ実オフィス環境でも初(マクニカ調べ)となる「ペロブスカイト太陽電池」を使った屋内空気質の見える化実証事業を開始したと発表した。同事業で使用する空気質センサー――空気質監視ソリューション「AiryQonnect」のセンサー端末は、空気の品質を常時チェックし、モニターする。

CO2、PM(ほこり、ちり)、有害物質、湿度・温度の数値から、快適に過ごせる空気質空間かを可視化する。同センサーに、ペロブスカイト太陽電池を組み込むことで、独立電源を確保し、設置場所の自由度やバッテリー交換不要といったメリットを実現する。今回の新たな仕組みは、環境負荷の少ない空気質観測を可能にすることが期待されている。

都庁の執務室内を、空気質モニタリング(CO2、温湿度、照度)の実証の場として活用し、ペロブスカイト太陽電池搭載IoTセンサーの量産化に向けて、検討・検証を進めていく。これを機に、持続可能なエネルギー源となるペロブスカイト太陽電池の実用化と、空気質改善による都民の生活品質アップの具現化に、3者で積極的に取り組んでいくという。