境界の概念を捨てて防御策を施す、ネットワークアクセス市場が拡大中

コロナ禍でリモートワークとクラウドサービスが普及した。企業・団体におけるVPN利用では、自宅などからそれ経由でイントラネットにログインし、社外のクラウドサービスを使用すると、同時ログイン数の制限があったり、レスポンスが遅くなったりといった問題が発生する。

一方、ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)では、インタ―ネット経由でクラウドサービスにアクセス後、クラウド側からイントラネットにアクセス可能となり、それらの問題を解決できる。クラウド化の進行に伴い、VPNに代わりZTNAが主流になっていくだろうとコンサルティング・フェローの藤 俊満氏がいう。ITRは15日、国内のZTNA市場規模推移および予測を発表した。

同市場の2021年度の売上金額は17億円、前年度比70.0%増だった。22年度は同40.0%増の23億8,000万円を予測。企業システムのクラウドシフトとリモートワークの定着に伴い、境界型防御セキュリティを見直す企業が増加しているという。

社外から社内ネットワークへの不正アクセス防御に使用されていたVPNは、ID/パスワードが漏洩すると重大な機密情報漏洩につながる恐れがあった。そこで、新たなアクセス手段としてZTNAが立ち上がった。同ソリューションは、ユーザーごとに権限設定しアクセス制限を設けられる、ユーザー認証がIDとパスワードに加え、生体認証などの多要素で、より高度な認証が可能といった特徴がある。

ゼロトラストセキュリティ概念の定着や、VPN機器の脆弱性を突いた攻撃の発生によって注目が高まり、参入ベンダーも増加し、大きく成長している。同市場のCAGR(21~26年度)は16.8%、26年度には37億円に達するだろうという。詳細は『ITR Market View:エンドポイント/無害化/Web分離/CASB/CNAPP/SOAR/ZTNA市場2023』にて確認できる。