建設現場DX、デジタルツインをあっさり構築可能なアプリを具現化

設計段階においてBIM/CIMの活用が進む。一方、施工段階での活用は未だ限定的だ。特にデジタルツインを構築する現場の管理は、3次元モデルを扱える高性能PCの手配や、ソフトウェア操作に関する高度なスキルの習得が必要であり――

BIM/CIM(参考:国交省BIM/CIMポータル)、地形、点群などの静的データと、人や工事車両など動的データの統合には高度な技術を要するため、一部の現場で試験的に行われているのが実情だという。TISは、大林組の、高性能PCや特別なスキル不要で容易に建設現場のそれを構築できる「デジタルツインアプリ」の開発を支援した。

AWSKubernetesの利点を最大限活用し、機能追加やユーザー数増減などに対して高い俊敏性・弾力性を持つデータ連携基盤を実現。同アプリは、①容易で快適な操作性:各種3次元モデルの登録と統合、全てに直感的でシンプルな操作を実現するデザイン、②場所を選ばずに現場を確認:ネットワーク経由でクラウド利用。動的情報もリアルタイム反映、③安全指摘事項などの共有と保存:アノテーション(付箋)機能などを特長とする。

顧客が東京大学と行ったデータ・システム連携基盤の共同研究を基に、上記データ連携基盤を築いたうえ、設計・環境・作業員・重機/ロボ情報について、「多種類のデータ集約・座標変換ロジック」の考案と実装を担当した。TISは、操作性や快適性を向上させるため、米Unity提供アプリのカスタマイズで同社日本法人と顧客が連携しているとした。

建設現場におけるデジタルツインを「誰でも、どこでも、すぐに」構築できる環境として業界のスタンダードとすべく、現場への適用とアプリの改良を進めている。大林組は同アプリをゼネコン、専門工事会社各社に展開することで建設DXを推進し、生産性の向上と働き方改革の実現に貢献していく。TISも継続的な支援により当該DXに寄与していく考えだ。