5G/6G通信事業の脱炭素化に向けてvRAN消費電力を約5割削減

汎用サーバ上に無線基地局の機能をソフトウェアで構成する仮想化基地局(vRAN)が注目されている。vRANは、専用ハードウェアで無線アクセスネットワークを構築するよりも大幅にコスト低減できる。が、"汎用"のサーバは特定処理に対して非効率であり、同基地局は消費電力の観点で課題がある。

一般的に性能向上と消費電力削減はトレードオフであり、マイクロ秒オーダの遅延要件がある基地局では特に両立が難しく、解決が求められていたという。NTTは、IOWN構想の一環として遅延要件の厳しいソフトウェア向けに研究中の「省電力イネーブラ」を活用することにより、実際の商用ネットワークに近い環境でvRANの消費電力を最大5割程度削減できることを実証した。

負荷に応じた必要最小限の計算資源で処理するように制御することをコンセプトにしていて、特に低負荷時において大きな省電力効果を実現する。非効率な処理を改善するための複数の技術を考案し、vRANを性能劣化なく省電力化できることを確認した。省電力イネーブラは、「光電融合技術」「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」「超強力・汎用WhiteBOX」と組み合せることで、より大きな省電力効果を得られる。

実証実験では、富士通提供のvRANに――省電力イネーブラの中から、①厳しい遅延要件の範囲内でソフトウェア処理をsleepする制御技術、②処理に必要なデバイスを制御する技術、③デバイスが持っている省電力機能を最大化する制御技術を、2種類のアーキテクチャ(look aside型、in line型)製品に――適用し、現行の汎用サーバを用いて評価し、低トラヒックの条件下で、双方最大46%の消費電力削減効果を確認した。

当該技術のグローバル展開をめざす。NTTは、5G / 6Gネットワーク等の省電力化による通信事業者の脱炭素化を支援し、持続可能な社会の実現に貢献していく構えだ。