建設現場DX、高所作業における墜落制止用器具の使用状態を自動判定

労働安全衛生法が改正された。2019年2月1日より高所作業で使用する安全帯の規格はフルハーネス型を原則とし、名称を「墜落制止用器具」に改めるなど、厚生労働省は安全基準を厳格化している。とはいえ、2021年に発生した建設業の労働災害は――

墜落や転落によるものが最も多く、死亡者は110人、死傷者は4,869人に上っている(同省PDF)。そこで、奥村組と日立ソリューションズは、「建設業向け墜落制止用器具フック不使用者検知サービス」を共同開発した。後者が今月17日に販売開始する。同サービスは、画像認識AI技術の活用により、鉄骨上作業における墜落制止用器具のフック不使用者を自動検知し、一定時間不使用状態が続くと通知を行う。

埼玉県内の現場にて、鉄骨上作業におけるフック不使用者を90%以上の精度で認識できることを確認済み(22年4月発表記事)である。施工管理者は遠隔からも作業員の不安全行動を検知し、適切に管理することが可能となる。不安全行動の映像はクラウドに保管されるため、作業員への安全教育や事故の傾向分析など、墜落転落事故の発生防止に活用できる。

「画像認識AI技術の活用により、鉄骨上作業におけるフック不使用者を検知し、通知(または警報)を発することで、不安全行動を抑止し、事故軽減に貢献」「現場にいなくても、カメラ映像から作業員の不安全行動を検知するため、管理者の負荷を軽減」「不安全行動のデータを蓄積しておくことで、教育や傾向分析などにも活用が可」といった導入効果が期待される。

新サービスは、今年6月から奥村組の建設現場に導入していく予定であり、秋にはハードウェア、通知機器を組み合わせ、一般販売することを計画しているという。両社は、対象を足場上作業へ拡大した検証も開始していて、今後も建設現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、建設現場の安全性の向上を図っていく構えだ。