自治体業務DX、専用ブロックチェーンによる電子契約システムにて

従来、電子署名で利用する秘密鍵は特定認証業務で取り扱う必要があった。秘密鍵を入手するには個人や法人を確認する書類が必要になるなど手間やコストがかかっていた。また、電子署名の利用はPDFやOfficeファイルに限定されていて、図面、写真などは利用できなかったという。

東芝デジタルソリューションズは9日、プライベートブロックチェーン「DNCWARE Blockchain+」を活用した電子契約システムの提供を開始した。同システムは、契約事務のデジタル化に関する連携協定を締結(21年9月発表)した長崎市にて、6月から本格運用が始まる。行政府での契約手続きを対象に、高い信頼性と透明性をもつ電子契約のデジタル化を実現する。

産業競争力強化法に基づくグレーゾーン解消制度において、建設業法および電子署名法についての適法性を日本で初めて確認された。「業務の流れを止めない仕組みを提供」「必要な書類の整理・共有と合意情報をブロックチェーンに記録」「契約事務に必要な機能を実装」といった特長を備え、電子証明内蔵ICカードやID・パスワードと紐づけられた秘密鍵(ウォレット)を用いて手間や追加コストなしに利用できるうえ、各種ファイル形式に対応している。

JACIC電子入札コアシステムを利用した仕組みを20年間提供している同社の電子調達システムと連携でき、発注者と受注者との契約事務全般をフルデジタル化して、調達事務全般をペーパーレス化できる。国や地方自治体の顧客に向けて、ブロックチェーンを活用したアナログ的規制緩和への提案や、DX推進に寄与する各種システム提供を拡充していく。

同社のブロックチェーンは、電子文書の真正性や非改ざんを証明する手段、地域通貨やボランティアポイント等の仕組み、地域農業生産から国内外二次流通までのトレーサビリティ確保など、多様な課題解決基盤ともなり、一層の自治体DX推進に貢献するという。