ツイートから見える日本の最新"空気感"はどんな風に

ロシアのウクライナ侵攻、安倍元首相襲撃事件、電気・ガスや食品等の値上げラッシュがあった。それら以前から社会を動揺させていた新型コロナがインフルエンザと同様の扱いになるなど、この一年と少々の間に、社会の空気感を大きく変える出来事が続いた。

日本の生活者や社会が感情面でどのような状態にあるのかを数値で表す、SNSへの書き込み情報をもとに計測・指数化する方法を開発し2022年3月に発表した、NRIは、上記社会の動きを踏まえて、日本の空気感の変化をより正しく計測するために指標の追加・見直しを行い、「活気」「混乱」「落込み」「怒り」「不安」「疲れ」「平穏」の7指標で改めて計測した結果を今月8日に発表した。

各指標は「心理検査(POMS2)」の考え方や、感情を色相環のように分類した「プルチックの感情の輪」をもとに再整理し同社独自の表現で定義。22年発表6指標のうち「緊張」を「不安」として再定義し、その他の指標も一部単語を見直している。7つ目の指標として「平穏」を追加――平穏で安心していられる状態も重要な空気感であると判断してこれを加えた。

22年は「不安」が大きく上昇し、3月16日の福島県沖地震でそれが一段と高まった。コロナ禍の「疲れ」が年間を通じて高い水準だった。「活気」が低水準だったが、12月のFIFAワールドカップや今年3月のWBCにおける日本チームの活躍で、一時的にそれが大きく上がった。「平穏」について、コロナ禍始まりの20年から緩やかに低下し、感染終息の雰囲気が高まってきた22年後半には上昇してきたなどという。

同社は上記指標を継続的に見直し計測――その時々の空気感を客観的・定量的に把握するとともに、将来の政策検討、経済予測、マーケティング戦略などへも活用することを目指している。指標の作成や測定方法の開発は、筑波大学システム情報系の佐野幸恵准教授との共同研究の成果をもとにしている。