クスリの安全性を学習したAIにて、人力評価を要する事例を大幅削減

薬局ヒヤリ・ハット事例は年に10万〜18万件ほど報告されている。そのうち調査対象となる事例は6000〜7000件程度あり、それらの発生要因に対する、製造販売事業者等による安全管理対策(「モノ」の対策)の要否を検討し、評価結果を踏まえ必要な対策を講じている――

医薬品などの安全性と有効性を担保する世界に比類なき三位一体の公的機関――医薬品医療機器総合機構(PMDA)による調査対象は増加傾向にあり、報告評価の効率化が期待されている。けれども報告データにはテキストデータが含まれており、報告項目の単純な場合分けでは評価の自動化が難しい、これまでは課題があったという。

エクサウィザーズは、京都大学と共同で、日本医療機能評価機構が公表している「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の事例のPMDAによる過去の評価結果を学習させた評価AIを開発した。同AIにより、薬局ヒヤリ・ハット事例における医薬品の「モノ」の対策が必要となる事例の見落としをなくし、人による評価が必要な事例の数を30~60%程度削減する効果が期待できる。

「AIによる評価」と「検証結果によって導き出されたルールによる評価」を組み合わせた評価モデルを、エンジニアではないPMDAの現場の人も活用可能なシステムとして、exaBaseの基盤を活用して開発した。今後、人による評価を併用しながら試行的に実務に導入して有用性を確認し、本格導入の適否を検討する予定だという。

すでに京都大学と共同して、上記対策が必要となる事例を「見落としを最小化する」指標であるRecallにおいて96%の精度を出すことに成功している('21年8月発表記事)、同社は、これからも、薬剤の属性情報を参照して評価するAIや、薬剤情報を含むテキストデータを評価するAIなど、医療・医薬品に関するさまざまな課題解決ができるAIソリューションの提供に取り組んでいく構えだ。