電炉法の促進は当該排出量の抑制につながる。が、鉄スクラップには建造物に使用される鉄パイプやドラム缶、ガスボンベ、冷蔵庫のような電化製品まで多種多様なものが混在していて、品質や異物の判別が困難なため、国内の粗鋼生産量における電炉法の割合は約30%(参考資料:経産省PDF)に留まっている。また、鉄鋼メーカーの工場では熟練の検収員が目視で品質や異物を判別するため、人による査定結果のばらつきが発生しているという。
トピー工業は、東京大学発スタートアップのEVERSTEELと共同で、AIによる鉄スクラップの等級やダスト量の解析、不適合品検出に関する実証実験を開始した。これにより、鉄スクラップの受入れにかかる検収員の、目視による品質査定結果のばらつきや人財不足といった課題の解決を図る。鉄スクラップの解析結果を用いて、検収プロセス後の鉄スクラップの電気炉への装入や、溶解などを含めた製鋼プロセス全体の最適化に向けた開発を進めていく。
これまで鉄スクラップの画像解析技術の開発について協議し、検討を重ねてきた。昨年12月に実証実験を開始して以来、検収プロセスにおいて鉄スクラップを撮影し、鉄スクラップの等級やダスト量の解析、不適合品の検出を実施している。現時点では、熟練工の検収員と同等レベルの判定精度を得られているという。両者は相互に培ってきた技術を結集し――
今後も共同してより実用性の高い自動解析AIシステムの開発を進め、鉄スクラップ検収業務の改善に加え、製鋼プロセス全体の改善に資する取り組みを継続していく考えだ。