そのため多くの直売所では、①提携する生産者へ過去の売れ行きに基づく分析結果を踏まえた有益な情報提供、②提携する生産者へ農作物別の販売見込み数量や価格に関するタイムリーな情報提供および共有、③複数店舗を経営、運営している場合の各店舗による品揃えの偏り解消と平準化が共通課題として挙げられていたという。
NTTデータ関西は今月5日、農産物直売所に特化した需要予測サービス「アグリアスエ™」の提供を開始した。同サービス(開発ストーリー)は、独自のAIエンジンにより農産物直売所の客数を予測し、農産物別に適切な販売数量や価格を導き出す。この仕組みを通して、農産物直売所は――手持ちのスマートフォンやパソコンの画面を「見る」だけで販売数量や価格の判断が下せる――新しい意思決定の体験を提携生産者に提供できる。
適切な販売数量と価格の決定により、消費者がいつ来店しても欲しい農産物が売り切れていることなく購入できるといった顧客満足も実現する。アグリアスエは、類設計室の協力を得て同社の直売所を実証フィールドとして客数予測のPoC(概念実証)を一定期間実施した。その結果、2週間先までの客数において、予測精度の誤差は90%以上~110%以下の前後10%以内であることが確認できているという。
今般の新サービスを通して、農産物の早期完売による機会損失と売れ残りによる廃棄コストを減らし、「農産物直売所の流通総額向上」と「提携生産者の所得向上」に貢献する。NTTデータ関西は今後3年間で100店舗、全国の農産物直売所および道の駅へ「アグリアスエ」を導入していく構えだ。