EVへの転換をシミュレート、走行可能距離や導入効果を可視化する

電気自動車(EV)の普及が進んでいない。日本では近年、"軽"EVや輸入EV数種を中心に低廉化が進み、補助金活用によりガソリン車並の価格で購入可能な車種が登場している。充電インフラも、急速充電器の設置に国の補助金が増額されるなどして、徐々に拡充しつつある。

日本におけるEV乗用車販売比率は昨年1月〜12月で1.42%(自販連PDFより)にとどまり、北米、欧州、中国に大きく差を付けられている。阻害要因として指摘されている価格・航続距離・充電インフラのうち、「航続距離」は、バッテリー容量大型化などにより一部車種は長距離走行も可能になっているものの、使用環境や運転の仕方、用途などにより、実際の航続距離(実用航続距離)は大きく変動する。

そのため、顧客ごとに異なる実用航続距離をカタログ航続距離(JC08モードやWLTCモードなど)から予測したり、EV導入後の運用イメージ(途中充電の要否、頻度など)を事前把握することが困難だったという。DeNAは、法人のEV普及を促すため、EVの実用航続距離や導入効果予測を見える化するEV転換シミュレータ「FACTEV」を4月1日よりオートリース会社向けに試験提供する。24年度の商用化を目標とする。

同シミュレータは、車検証や定期点検・運行管理台帳などの基本情報で、車両の使われ方を特定する。さらに、走行地域の道路特性や気象情報の分析を加え、用途に合った候補EVを選定し、実用性能(実用航続距離やバッテリー状況)や導入効果をデータで提供する。新たに情報(CANデータ等)を取得する必要がなく、候補EVの即提示とか、実用性能や導入効果予測のユーザー提示を可能とする。

今後、各社の多様なEVデータをクラウド上で編集・加工し、EV情報を共通形式で各種サービス事業者に提供するシステムの構築を目指すという。同社は、脱炭素やサーキュラー・エコノミーの実現に貢献していく構えだ。