国内ERP市場はSaaS版が牽引、26年度まで2桁増が続く

デジタル変革の一環として、多くの企業は、基幹系システムやスクラッチ開発の刷新時にクラウドシフトを推進している。レガシープラットフォームからの移行、個別導入したシステムの統合やシングルインスタンス化、グループ/グローバルのシステム展開など、その目的は多様だとはいえ――

データドリブン経営の実現に向けて、ファクトデータを迅速に把握するための基盤としてERPを位置づけることは、企業の共通認識として浸透してきたと、プリンシパル・アナリストの浅利浩一氏がいう。ITRは今月23日、国内のERPの提供形態別とパッケージ製品の運用形態別での市場規模推移および予測を発表。ERP市場の2021年度の売上金額は1,467億円、前年度比16.3%増だとした。

同市場は20年度にコロナ禍の影響で営業活動の低下や案件の先延ばしなどが散見され、低調な伸びにとどまったが、21年度は各種法制度の改定対応や老朽化したERPシステムのリニューアル案件が増加し、2桁成長を回復した。22年度も同様の動きが続いていることから、同12.1%増が予想される。当面ERPへの投資の増加傾向は続き、CAGR(21~26年度)は10.5%となるだろう。

提供形態別では、21年度のパッケージ市場は前年度比6.0%増、SaaS市場は同32.7%増。主要ベンダーが新規案件でSaaS版を販促しているため、パッケージ市場のCAGR(同)はー1.2%、SaaS市場のそれは+20.5%と予想。パッケージ市場を運用形態別に見ると、オンプレミスは20年度~21年度にマイナス成長が続いた一方、IaaSは成長を維持――22年度以降もこの傾向が続くと予想される。

基幹システム全般でのIaaS利用が増加していて、ERPパッケージの稼働環境としてもIaaSの選択が主流になる見込みだという。詳細は『ITR Market View:ERP市場2023』にて確認できる。