クラウド・データレイクに学内外の研究者情報をDB化し可視化

わが国の大学には国際的プレゼンス向上、若手研究者の登用、多様性と包摂性、産学連携推進などの課題がある。そして、研究者の多様な業績を効率的にデータベース(DB)へ集積し、エビデンスベースで評価・分析するシステムの構築が求められている。

国際卓越研究大学の公募が始まるなど周辺環境が大きく変わりつつある。近年、国内の研究者DB(researchmapKAKEN)、海外の論文情報DB(ScopusWeb of Science)により、論文数や被引用数、科研費獲得額等は比較的容易に集積・分析が可能であり、内閣府エビデンスシステム(e-CSTI)では、研究者数当たりの論文被引用数や寄付金額等が大学・研究機関別に可視化されている。一方、大学では――

秘匿性がある企業との共同研究、論文指導、管理運営業務など外部DBに集積しにくい教育・研究活動があり、従来、それら実績は研究者が自身の研究時間を割いて学内DBに入力。同作業は研究者に依存するため、量や質に大きな差があり、エビデンスベースの評価・分析が難しい要因にもなっていた。大学や研究者に求められる評価基準は学問分野により異なり、時代でも変化するが、既存のDBでは多面的な評価に迅速に対応できないという。

東北大学は、学外の論文情報DBと、学内に蓄積された人事・研究費・教育実績等の多種多様なフォーマットのデータをAWSのクラウドサービスで構築したデータレイクに集約し、瞬時に評価・分析・可視化が可能なシステムを開発した。これにより、論文被引用数等の画一的指標に限らず、共同研究、学生指導、管理運営の実績が自動的に集積され、より多面的でエビデンスベースな研究者の評価・分析が可能となった。

世界と伍する大学経営戦略のDX、研究者の研究時間確保への貢献も期待されるという。上記データレイクを用いた研究者DBを試験運用した後、今年4月より本格稼働させるとのことだ。